2000年4月8日(土)18:09

ヴェリンクはヨーロッパ経済通貨統合(EWU)の性急な拡大に警鐘



アムステルダム/リスボン(ロイター)

 オランダ中央銀行総裁ノウト・ヴェリンクは、東欧中欧諸国のヨーロッパ経済通貨統合(EWU)への性急な加盟はユーロの安定性を損なう危険性があるという見解を示した。その場合ユーロの安定性に関し「きわめて危険な」影響が及びかねない、とヴェリンク総裁は土曜日の午後に発行されるオランダの新聞「NRCハンデルスブラート(NRC商業新聞)」で述べた。ドイツ連邦銀行総裁エルンスト・ヴェルテケはリスボンでのEU蔵相会議において、EUが拡大し、新たな国々がユーロに加盟申請するまではまだ「相当の年数」がかかろうが、「いま絶望したり途方に暮れたりする理由はない」と述べた。

 欧州中央銀行理事会の構成員でもあるヴェリンクは、さらに「政治上の力学」がポーランド、ハンガリー、チェコ共和国、スロヴェニア、エストニアのEU加盟候補国の加盟に関する協議のテンポを速めていると強調。「政治上の決定権者は、ヨーロッパ経済通貨統合への加盟があまりにも性急に行われていることを認識しなくてはならない」と付け加えたという。EUは目下12の国々と加盟に関する協議を行っている最中である。

 ヴェルテケは、「候補諸国が通貨統合の加盟国となるまではまだ数年かかるだろう。候補諸国がEUにいつ参加できるかは不明であるが、EU参加後二年以上欧州通貨システム(EWS)に加盟して、はじめてユーロへの加盟申請が可能となる。EU委員会と欧州中央銀行はしかる後、候補諸国がユーロへの受け入れ条件を満たしているか審査することになる」と述べた。ドイツ連邦共和国蔵相ハンス・アイヒェルは、それぞれの国でユーロ加盟に必要なすべての基準が満たされねばならない、と強調した。

 欧州中央銀行理事会の規模と構成に関し、アイヒェル蔵相は、ユーロへの新規加盟の際に問題が生じる可能性がある、と述べた。しかしドイツとフランスが欧州中央銀行理事会の改編についてすでに合意したとの報道は退けた。しかし一方で同蔵相は「この問題は最初の新規加盟が行われる以前に解決しておかねばならない、欧州中央銀行理事会の純粋な規模に基づく為替管理上の合意形成が不可能になるような状況はあってはならない」と述べた。

原題: Wellink warnt vor zu rascher EWU-Ausweitung